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お葬式に湯灌は必要?~湯灌の意味や費用相場、しきたりなど~
故人の最後のお風呂ともいえる湯灌には、遺体を物理的にきれいにするだけでなく、宗教的な意味合いや、また遺族の悲しみを和らげるといった意味もあるようです。
しかし、一般的には葬儀の基本プランには含まれない、オプションでのサービスです。葬儀の打ち合わせの際に、よく理解できないまま頼んでしまったり、反対に希望していたのに依頼できなかったということも起こり得ます。
今回は、湯灌の意味や費用の相場、湯灌に関連する葬儀のしきたりなどについて説明します。
湯灌とは
湯灌とは納棺の前に遺体を沐浴させ、洗い清めることです。
今では葬儀社や湯灌専門の業者に依頼することがほとんどですが、かつては湯灌を行うのは故人の肉親、または地域によっては近隣の人というのが一般的でした。
専用の浴槽で故人の体や髪を洗った後は、体を拭いて髪を乾かし、髪型を整えます。故人が男性の場合は髭も剃ります。また故人が女性の場合も剃刀をあて、産毛を剃ります。その後、死化粧を施し、爪を切るなど身支度を整えます。
本来は、遺体を衛生的にきれいにするだけでなく、現世での汚れを洗い流し霊魂の復活を願うという宗教的な意味もあったようで、古くは川の水で遺体を清めていたともいわれています。
湯灌の費用
湯灌の費用は葬儀社によって異なりますが、故人を浴槽に入れて湯灌を行う場合、10万円前後が相場のようです。
湯灌から納棺までを厳かな儀式として執り行うなど、さまざまなサービスがありますので、葬儀社に確認しましょう。
湯灌はいつ、どこで行う?
湯灌は一般的には、葬儀会館、または自宅などで、納棺の前に行います。
葬儀会館に湯灌室など、湯灌の設備が整っている場合はその設備を利用します。
また葬儀会館に湯灌の設備がない場合や、故人を自宅で安置している場合も、湯灌専門のサービスを依頼すれば、給水器やシャワー付きの洗浄槽などの設備を搭載した専用の車両があるので、湯灌は可能です。
湯灌に立ち会うことはできる?
湯灌を業者に依頼した場合も、喪主や遺族など近しい人たちが立ち会うことが可能です。
通常、故人の肌が露出しないよう大きなタオルを掛けて行いますが、あまり多くの人に参加してほしくないという場合は、喪主や遺族はほかの人の参加を断っても失礼にはあたりません。
場合によっては、遺族も少し故人にシャワーをかけるなど遺体を洗うのを手伝ったり、ただ見ているだけでなく湯灌に参加できることもあります。
また、湯灌に立ち会う際には、平服での参加が一般的です。喪服を着る必要はありません。
湯灌のしきたり「逆さ水」
湯灌の作法としては「逆さ水」と呼ばれるものがあります。
今ではあまり行われなくなりましたが、かつては 湯灌といえばタライにぬるま湯を用意して、遺体を拭き清めていました。
通常であれば熱いお湯を冷ます場合、お湯に水を足して温度を調節しますが、湯灌の場合は反対に、水にお湯を注いで温度を調節するというしきたりがありました。
これは「逆さごと」といわれる葬儀に関する習わしのひとつです。
死者に対しては、生きている人に対する時とは反対の作法で行うもので、ほかにも故人の枕元に立てる屏風を上下逆さまに置いたり、故人の着物を左前に着せるなどさまざまな慣習があります。
生と死が対比していることから生まれた習俗と考えられていますが、現在では簡略化が進み、あまり厳密ではなくなっています。
なお、湯灌に使った後の逆さ水は、陽の当たらない場所に流すといったしきたりもありました。
葬儀のしきたりは地域や宗旨宗派によっても異なりますので、気になる場合は葬儀の担当者や菩提寺に確認しましょう。
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湯灌は必要?
現在の葬儀では、湯灌は必ずしも必要なものではありません。
湯灌まではしなくても、清拭といって故人の体をアルコールで拭き清め、衛生的に必要な処置を施したり、死化粧をして身だしなみを整えることで、湯灌まではせずに葬儀を執り行うことは可能です。
また多くの場合、葬儀社の用意する基本的な葬儀プランに湯灌は含まれていません。オプションで追加するサービスなので、遺族が必要ないと判断した場合、無理に依頼する必要はありません。
では、どのような場合に湯灌を依頼するかというと、各家庭で理由はさまざまですが、その根底には、「故人に喜んでもらいたい」「故人への感謝を伝えたい」といった遺族の思いがあるようです。
まとめ
本文中でもあるように、湯灌は葬儀サービスの中でもオプションとなることが多いです。そのため、希望があれば葬儀社に依頼しなければなりませんし、反対に不要であれば葬儀社に勧められてもきちんと断らなければなりません。
喪主になる方や遺族が決めなければなりません。葬儀の準備は慌ただしいことが多いですが、不明な場合にはきちんと、納得できるまで説明を聞いて判断できるようにしましょう。
後悔のないお葬式をするためには、少しでも早く、時間に余裕のある間に事前相談を行っておくことが良いでしょう。